経営同友会 -当会の提言がJAPAN TIMES紙に掲載-

経営同友会からの提言

当会の提言がJAPAN TIMES紙に掲載されました。
 

LinkIcon掲載記事へ (リンク先は英文ですので、以下に当会で和文翻訳したものを掲載します)
 

地下活動? ある団体が首都高速の高架を葬り去ることを計画

 
事業経営者の一団が、東京の首都高速道路の高架部分をすべて地下60メートルに移設するプロジェクト案を提言している。この大型プロジェクトは、高架撤去後の跡地の再生・環境整備および首都高の主要出入口付近一帯の大型再開発も視野に入れている。
本プロジェクトの提言者は経営同友会。若手起業家と中規模事業経営者(東京証券取引所上場の企業も含む)の交歓の場として、1962年に設立された。 同友会メンバーである大橋吉隆氏は次のように言う。「今回提言した東京都心の首都高地下移設により、慢性的な交通渋滞の緩和にとどまらず、都市環境の向上にも貢献が期待できる」。しかし、この提言はそれほど画期的なものとは言えない。東京はすでに地下深く「潜行」しているためだ。クモの巣の如く張りめぐらされた東京都営地下鉄網に2000年、新しい地下鉄路線が加わった。この大江戸線は最深部では地表から約50メートルの深度に達している。12月には、首都高速道路の運営主体、首都高速道路株式会社によって、首都高速道路網の一環である中央環状線の一部、新宿と板橋を結ぶ7キロメートルの区間が30メートルの深さの山手トンネルの開通により完成した。この山手トンネルを新宿から渋谷まで延長する工事が現在も進められており、4キロメートルにおよぶ本区間が国民の利用に供されるのは、2009年度(2009年4月〜2010年3月)となる見込み。中央環状線全線47キロメートルの完成は2013年度とされている。中央環状線は都心から約8キロメートル離れ、東京都心3区を取り巻く周辺区域を貫いて走っている。首都高速道路株式会社によると、新しい高速道路(現在建設中か計画段階にあるものを含め)のうち、73パーセント以上が地下を走るという。これ以外が高架式であるか地表を走るものだ。
 
しかしながら、首都高速道路株式会社は、東京都心の道路網(正式には首都高速道路都心環状線と呼ばれ、同社の事業対象である)の老朽化の進む高架を近い将来架け替える計画は今のところ持ち合わせていない。
この高架区間は合計32.5キロメートルにおよび、建設されたのは1962年12月から1967年7月にかけて ー 言い換えれば、日本が著しい経済成長を遂げた時代、建設ブームの時代であった。その頂点は1964年の東京オリンピックである。交通の流れを遮断する頻繁な維持・補修工事を見ても明らかなように、これらの高架は劣化の一途を辿っている。首都高速道路株式会社(2005年秋に民間会社に転換)の広報担当者によると、当該区間の老朽化は否定できないが、再構築費用の原資が会社にはないという。「われわれにできるのはせいぜい、定期的、組織的に古い高速道路を補修し、ドライバーの安全を確保すると同時にその耐用年数をできるだけ引き延ばすことぐらいです」と言っている。
 
大橋氏をメンバーとする同団体の提言が斬新なのは、同プロジェクトの資金調達に、公益事業を目的とした場合の新しい「大深度」利用の法的枠組みを採用し、国の拠出を当てにしていないことである。インフラ ー 主要なライフライン、商業施設から自動車道・鉄道網までを含め ー を地中深く埋め、地表の跡地空間を都市再開発のために活用する。この目論みは、なにがなんでも開発をと意気盛んだった1980年代に大いに取り沙汰された。しかし、これらの計画は、バブルの崩壊とそれに引き続く1990年代の景気低迷 ー すなわち、日本の「失われた10年」である ー によって大半が潰えてしまった。しかしながら、国会は2001年、大都市において、通常は利用されない深さ ー 大深度 ー の地下開発を認める法案(大深度地下利用法)を可決した。地表から40メートル以深もしくは既存建築物の支持地盤上面から10メートル以深の地下が、公共事業の場合、補償の必要がなく、地表の土地所有者に事前の承諾を得る必要もなしで、利用可能となった。
経営同友会の試案では、首都高速道路網を形成する都心環状線の現行の高架部分をすべて地下60メートルの深さに移設するとしている。「この大型プロジェクトに大深度地下利用法を適用することで、用地取得に要する莫大な費用について頭を悩ます必要がなくなる。通常はそれがどんな公共事業のプロジェクトにおいても費用見積り額の相当部分を占めていた。時には、80〜90パーセントに達する場合さえあった」と大橋氏は語る。
 
さらに特筆に値することは、このプロジェクトの建設期間がわずか2〜3年とされていることだ。同規模のプロジェクトに必要とされる10年と比べはるかに短い。これは日本の卓越したシールド工法を存分に使用することで可能となる。「実際のところ、日本の土木技術の水準は世界でも指折りのものです」と大橋氏は胸を張る。この巨大プロジェクトの総事業費は、見積もりを委託された大手建設コンサルタント会社によると、地表の既存建築物を解体する費用も含め、約1.7〜2兆円にのぼると推定されている。また、同見積もりによると、プロジェクトの便益費用比は1.6。すなわち、便益が長期的には費用を上回ると見られている。多くの公共事業プロジェクトではその数値は1.1にとどまる。
 
なお、見積もりは、年間およそ73億円の維持管理費および当該区間通行量の20〜30パーセントの増加を前提としている。 経営同友会の試案の目覚ましい点はまた、プロジェクトに民間資本主導(PFI)の手法を取り入れたことである。つまり、本プロジェクトの資金は100パーセント民間部門でまかなわれ、国民の税金に負担がかかることがないとする。ただし、地下高速道を利用するに際しては通行料を払わなければならないであろう。
プロジェクトの収益性は極めて高いと経営同友会は主張する。「2兆円の投資費用は20年もせず回収できる見込みがある。年間2000億円の収益が期待でき、運営経費は年間100億円程度で済むのだから」と大橋氏は見通しを語る。
試案ではまた次のように謳われている。首都高の高架部分を東京の中心部から追放することで、大規模な都市再生・再開発プロジェクトの始動が促される。これによる波及効果は推定2〜3兆円、国内総生産(GDP)の約0.5パーセントに相当する。
 
プロジェクトの経済的側面は別にしても、それが東京の生活環境におよぼすプラスの影響は計り知れない。跡地の空間は公園もしくは水流に転換され、二酸化炭素の排出削減に一役買うことが期待できる。地下では、自動車の排ガスは地上に放出される前に冷却・浄化する設備が整えられることになろう。試案はそう展望する。
 
とは言うものの、首都高速道路の現運営者がこのプロジェクトのために自らの事業を一部放棄することに同意するかどうかは不確かだ。また、政府当局の官僚主義やプロジェクトへの民間企業の参加動向なども見通しを難しくする要素である。
しかし、大橋氏や他の主だった会のメンバーには臆する様子は見られない。
 
「想像してご覧なさい。騒音と排ガスの元であった首都高の高架が姿を消した東京都心を。これは夢のプロジェクトです。その究極のねらいは、将来何世代にもわたって東京により良い、生態系に配慮した都市環境を作り上げることです」と大橋氏は語る。

経営同友会の提言の詳細はこちらのサイトを参照(www.keieidoyukai.com)
 
 

日本橋 ー 江戸時代の五つの重要な街道の起点であり、東京の歴史的名所のひとつであるー は現在、首都高速道路の高架によって上が覆われている。政府の諮問機関が2006年秋、当時の小泉純一郎首相に2キロメートルの高架部分を地下に移設し、橋周辺を公園や遊歩道にする案を示した。しかし、その巨額の費用 ー 試算では4000〜5000億円 ー のためプロジェクトは宙に浮いたままとなっている。