改革は成長をもたらす

テーマ:「改革は成長をもたらす」

平成19年3月例会
ゲスト/水野 清先生

◆ 行政改革の問題点

 郵貯、簡保、年金などの資金から、足りない予算を国が調達する手段が国債といえる。郵政民営化で法律上7年以内に借金を返さなければならず、その返済に財務省が発行するのが財投債で、これも国債の一種である。これまで、無期限に返済を先送りにできた国の借金が民営化でできなくなった点は、郵政民営化は行政改革を推進させた意味があるともいえる。

 さて、行政改革については推進法が策定されている。行政改革で政策評価がやっと採用されたが、評価委員が各省大臣に任免権があり、あまり苦いことはいわないことになる。公務員制度改革の推進はさらに難しい。能率主義を採り入れようというのだが、官吏の理想が事なかれ主義なので一朝一夕に活用できるものではない。また、公務員の総人件費を削減するというのは、ある程度実現できよう。独立行政法人については、会社を再建したような人を導入して徹底して見直しをさせればいいのだが、ぐずぐずとして動いていない。七つの政策金融機関は、民営化するか一つに統合するかで、この改革の実現が最も早い。公共サービス市場化テストでは、最も議論の的になっているのが、職業安定事業である。予算がついてハローワークの箱物は豪華に設備されているが、サービスはなっていない。地方で東京の働き口を見つけてと依頼されても、探しきれていないのが実情だ。安倍政権になって小泉政権時代ほど怖くないので、改革の推進は徐々に鈍りだしている面も見える。


◆ 身近な改革 −都市再生−

 都市計画道路の半分は国庫負担になっている。90%以上の用地買収は済んでいるが、それ以上進んでいない道路が多くある。その買収にかかった用地費は1兆6000億円、買えていない用地費が約4000億円で、この2兆円の道路が完成すれば、国民にとっては助かるのだ。

 また、東京都の踏切は今も大変な数があり、立体化などの検討がされているが、それが実現すれば国民経済に与える影響は大きい。

 ともかく改革とは、華々しい外見のものばかりでなく、地道で身近なところからでもやっていけば、工事費はかかるものの、おそらく10兆円くらいの経済効果が見込める。さらに他の大都市でも手をつければ、その効果は地方では相対的に大きなものとなる。

 以上、当面の改革問題はいろいろあるが、一つずつどうやって解決していくかを考えつつ、着実にすすめなければならないのはいうまでもあるまい。


水野 清 氏水野 清 氏
元内閣総務庁長官

大正14年  千葉県出身
昭和26年  東北大学卒 NHK放送記者
昭和42年  衆議院議員初当選
昭和58年  建設大臣
平成元年   自民党総務会長
平成5年   衆議院議員9回当選
平成10年  「日本再建のための行革を推進する700人委員会」代表世話人