私がめざす国家像

テーマ:「私がめざす国家像」

平成18年11月例会
ゲスト/前原 誠司先生

◆ 野党第一党としてのスタンス

 私の持つ野党像、さらに二大政党制をめざす野党第一党としてのスタンスについて話したい。
 民主党は右から左へ幅広い寄り合い所帯で考え方がバラバラではないかと見られていることが、民主党のアキレス腱になっている。ゆえに、外交アジア政策や内政などについて統一したビジョンをまとめ、民主党が政権を目指す本気さを示すことが民主党への信頼感を持たれるために不可欠であると思う。
 二つ目は、対話路線で行くべきだということである。野党だから何でも反対するというのではなく、いい法案などについては応援し、悪い法案などについては"おかしい"ということを国民の前に対案で示すスタンスに立つべきだろう。
 三つ目は、労働組合との関係である。支持母体の一つだが、労組と考え方が異なるときにはきっちりと対案を示し、大局に立つ野党であるべきということだ。
 これらのスタンスをしっかり示せれば、民主党が本気で政権政党をめざしていることを多くの国民に理解していただけるだろう。

◆ 目指すべき国家像の実現に向けて

 私が思う国家像は、「効率的であり人に温かい」、「住民参加型の分権社会」ということだ。
 まず財政面では、まだまだ無駄遣いが多いと認識せざるをえない。あたかも消費税引き上げを財政再建の必須項目のように主張している与党に対し、国民の皆様が財政のツケを安易に国民負担に転化するなと声を上げていただくべきだし、経団連の元会長・土光敏夫氏の提言「行革なくして増税なし」を改めて今の政治、行財政改革に踏襲すべきだと思っている。
 小泉前首相が「小さな政府」といったが、むしろ水ぶくれした脂肪率の高い政府といえる。例えば国家・地方合わせて380万人といわれる公務員の平均報酬は、民間のサラリーマンに比べ、極めて高い。もちろんその数についても、こんなに必要ではない。例えば政令都市は県から独立しているため、その県では二重行政となり、公務員の数は膨らまざるを得ない。そのため公務員の数とそのための出費ということでは、相当無駄遣いが多い。
 私は、分権こそ究極の行財政改革だと考えている。例えば私の選挙区である京都市の東山地区では下水道事業にかかろうとしているが、選択肢は三つあり、国土交通省、農水省、厚生労働省が所管する下水道事業から選ぶことになる。その選び方は、国の補助金と地方債によって京都市がいかに少ない負担でできるかということにあって、コスト感覚がまるでない。こうした観点であらゆる公的事業が行われ、そこにメスを入れることが正しい税金の使い方へつながる。
 人に温かい分権社会として考えるべきは、一つは2007年の団塊の世代の大量リタイアの問題がある。分権社会に向け地域に徹底的に権限・財源を降ろすと同時に、地域に特有の公の仕事を作っていくことで、その大量にあふれる人材を吸収できる場ともなるのだ。
 最後に、主権国家としてのベースとなる安全保障の問題について述べたい。まず核保有の議論は、三つの観点でナンセンスだと考える。一つは、日本の危機としては、北朝鮮からのミサイル攻撃、テロ攻撃、中国による大陸棚の実行支配などが考えられるが、それらの回避および防衛にはアメリカの情報力、防衛力なくしてはありえないわけで、日米同盟関係を白紙にもどして核保有を検討できる立場にないことがある。二つめは、不拡散条約の脱退で北朝鮮に核を持つなとはいえなくなることがある。三つめは、核とテロとの結びつきを懸念される今、核物質や技術の流失を防ぎ国際社会で管理することが最優先されるべきだからだ。
 日本は日米同盟に偏するだけでなく、自前の安全保障も視野に入れつつ、徐々に自国の防衛を整備し、国際社会での発言力も高めていくべきだろう。

前原 誠司 氏 前原 誠司 氏 前原 誠司 氏
衆議院議員・前民主党代表

昭和37年 京都市出身
昭和57年 京都大学法学部入学
昭和62年 松下政経塾入塾 第8期生
平成5年  衆議院議員初当選
平成13年 民主党幹事長代理
平成17年 民主党代表

現在、衆議院外務委員会委員、予算委員会委員など