明治以来、これ以上高い金利で貸せば刑罰となるという出資法が存在している。昔は100%、今は6年前の改訂により29.02%という上限金利が定められ、違反すると刑罰が課される。一方、それ以上の金利で貸すと民事上無効となる利息制限法というものがあり、その金利はほぼ20%と定められている。二つの金利の間がグレーゾーン金利と呼ばれ、その意味が問題となってきた。昭和29年制定された貸金業法で、20%以上は民事上無効ではあるが当事者が任意で20%以上でも金利を払うという同意を得ていれば有効にすること規定されている。そのため、今の貸し金業者のほとんどが上限の29%で貸している。ところがここ最近の最高裁判断は、20%以上の任意性を認めないとするものが多くなっている。借りた人が20%以上の金利について同意した覚えはないとして訴訟に持ち込めば20%以上の金利分について返還を求められるということなのだ。結局、貸し金業者が金利の同意を書面で求めてから貸すという手間やコストを惜しんで、今はATMで手間無く多数に貸しているためといえる。
実際、多重債務者は200万人ともいわれ、平均像は200万円の年収に債務が330万円という。こうした多重債務者の発生を何とか防止することはできないか。
借金の要因の1位は遊興費、2位が女性、3位が利殖である。非常に簡単に貸し金業者から金が借りられる状況があり、さらにアイフルのCMのインパクトから貸し金業者が身近でいい会社のイメージが生まれ、より気軽に借金をする若い世代が増えたのだ。
こうした状況を打開するため、まず、だれでも届け出ればできた貸し金業を認可制にする方向で検討を始めている。また、グレーゾーンが存在してきたのは、なかなか銀行などは貸してくれないための必要悪という面もあるものの、グレーゾーン金利を解消していく方向に動き始めた。
小泉前首相は変人である。かれだからこそこの5年間、構造改革をやり通せたのだろう。こうと決めたことを周囲の波風をものともせず実行していく頑固さが強みである。ただ、世論には敏感で、官邸独自の世論調査機関を駆使し、施策を打つときも世論の動向を見極めて実行していた。郵政民営化で解散させたときも、賛成が過半数を超えたことを確認してのことだった。
小泉前総裁の最大の成果は、去年の衆院選だった。880人もの人が自民党からの立候補を求めて応募してきたのだ。一高東大官僚とかハーバードとかのキャリアだけでなく、幅広い人材の応募があった。地震のあった山古志村の村長、青ヶ島の教師、介護をライフワークにする看護士など、2世、県議、官僚などの定番でない人が出てきてくれるようになったことは、小泉政権が進めてきた方向に共感してくれたからかもしれない。
もう一つの大きな成果は、不良債権処理だろう。実は、金融関係の不良債権処理に80兆円かかっている。10兆円の損は確定しているものの、景気が上向いて10%台だった不良債権比率が今は1%台に落ち着いたので、次の段階へ駒を進められる状況になったといえよう。
全体としての構造改革、少子化傾向が定着している社会でも年金、医療費などの福祉についても次世代が耐えられる社会の枠組みを作っていくのは、小泉政権から次の政権にもつながる大きな責任でもある。構造改革の基礎となるのがプライマリーバランスの達成といえる。その年度の税収でその年度の政策にかかる歳出はまかなうということだ。当たり前のようだが、残念ながらわが国はまだ借金に傾いているのが現実である。大まかにいうと、予算80兆のうち国債の利払いに20兆かかり、政策支出は60兆になる。今年の税収は45兆で、プライマリーバランスまでに15兆の開きがある。本来は利払いも含めて税収でまかなうのがいいが、開きが大きいため、5年後を目途にプライマリーバランスをとろうとしている。そのためには、支出の縮小と税収の増大の両方を図る必要がある。今の段階では、差額の15兆のうち7割を支出削減から、あとの3割を消費税などでの税収増を計る。もちろん削減と増税だけではなく、経済成長を図ることも重要になるのはいうまでもない。
金子 一義 氏
衆議院議員
昭和17年 岐阜県出身
昭和41年 慶應義塾大学経済学部卒業
昭和61年 衆議院議員初当選
平成07年 自民党副幹事長
平成11年 衆議院大蔵常任委員長
平成17年 衆議院議員選挙第7回当選
現在、衆議院予算常任委員長、自民党税制調査会副会長など