成功した電源開発の民営化

テーマ:「成功した電源開発の民営化」

平成18年3月例会
ゲスト/水野 清 先生

◆ 景気回復基調の中での行政改革の舵取り


 小さな政府を目指して、公務員の削減を模索してきた。それには、まず行政の場で企画立案を担当している本当の意味の役人1万人ほどをしっかり管理し、いい仕事をしてもらう一方で、現場で作業を担当するような部分は、独立行政法人としてアウトソーシングし、公務員ではなくしていこうというのである。結果、実際に各省庁からさまざまな独立行政法人が生まれたが、その必要性などを吟味して、漸く玉石混交だったものを玉と石に分けたのである。

 玉の組織といえば、例えばジェトロは、外務省よりいい仕事振りで、外国の経済情報を的確につかんで日本の役に立っている。国際交流基金は、外国から研究者を招いたり日本から送り出したりと、大事な組織である。宇宙航空研究開発機構は、予算が削られて危うかったが、打ち上げ成功などで持ち直している。石油公団の後継である石油天然ガス金属鉱物資源機構や理化学研究所なども非常に大事な組織だ。

 一方いらないと思われる法人は、まだまだいっぱいある。大昔のままに残っていた何をしているかわからない部署の成れの果てだったり、必要な仕事をせずただ予算を使うためだけのところだったり、それらを見直しする中で統廃合を実施している。

 民営化第1号の電源開発は、2700円で上場し、4400円までもっていった。いろいろな経営努力をしているが、石油ではなく石炭火力に絞り、オーストラリアに炭鉱を2つ保有し、専用運搬船を10隻抱えている。大気汚染の対処装置ももっとも完備している。既に利益を上げ、納税もしているのだ。さて、今年は郵政民営化が緒につく。郵便、郵貯、保険と分割されどう企業化が進めるか、慎重な舵取りが要するところだろう。

 次に、行政改革法案が今国会に提出され審議されようとしているが、小泉首相が困っている。それは、官公庁のゼロ回答である。合理化すべき部門部署の民営化や人数・予算の削減を指示しても、一向に努力しようとせず、既得権にしがみついているのが現状なのだ。

 ハローワークの民営化をしようとしてリクルートなどの民間との競争入札ということにしても、リクルートが勝つに決まっているため、負けたほうの厚生労働省の職業安定局がリクルートを雇うことになるのか、いやそうはなるまいという観測が立ってしまう。

 しかし、膨大に膨れ上がった借金を少しでも減らすためには、豊満な組織の締め付けや絞り込みへの試みはなされなければならないし、実際締めていく。最終的には、小泉首相が自分の任期中は上げないというものの、谷垣氏や柳沢氏は大蔵省の教育を受けているので上げると決めている消費税率を、いつ、どの程度上げるのかということになろう。1パーセントで2兆5千億、2パーセント上げても5兆円の税収増と算出されているが、それでは700兆円の借金は返せない。もう少し上げなければということになろうが、せっかく景気が回復基調にあるのに、消費税率アップにより消費は必ず落ちるので、簡単には導入できない。

 さて、これからの10年、日本はどうすべきか、何が問題かということを研究する必要があると思う。さまざまな分野のブレーンに集まっていただき、産業ごとにじっくり検討していく。産業以外にも、何が日本にとって大事なのかということを来年度のテーマとし、答えを求めていこうと思っている。

 例えば、日本の産業でもっとも遅れているのが金融である。日銀で安い金利で借り、国民に貸して威張っていたのが日本の銀行だった。外国の銀行は利子による収入の割合は40パーセントほど、あとはM&Aやヘッジファンドなどで稼ぐ。日本は終戦後半世紀、一生懸命モノづくりをしてきたばかりで、金をどう扱うかに長けていない。そんな日本の金融がどう変わるべきかじっくり検討していくべきだろう。

水野 清 氏水野 清 氏
元内閣総務庁長官


大正14年  千葉県出身
昭和26年  東北大学卒 NHK放送記者
昭和42年  衆議院議員初当選
昭和58年  建設大臣
平成元年   自民党総務会長
平成5年   衆議院議員9回当選
平成10年  「日本再建のための行革を推進する700人委員会」代表世話人