小泉劇場の幕開けで、総選挙において003人の自民党新人議員が誕生した。これはまさに、小泉総裁が小選挙区制度をうまく活用した結果だろう。そして、今回が小選挙区制度に会わせた選挙戦術を取った初めての選挙だったと思う。
中選挙区制度では、一番の敵が自党候補同士ということになる。ライバルをなんとか蹴落として自分が当選することを考える。自民党の政策を訴えるというより、自分の政策を訴えることになる。小選挙区になれば、自民党対野党という図式が鮮明となり、党として協力して力を発揮することができる。この結果、今度の大勝へと結びついたのだが、このことは風が吹かなければ一気にひっくり返されることも意味している。
小選挙区制度に反対だった小泉首相が総裁となるについても、それまでの総裁への道とはまったく異なる道をたどった。国民的な大きな支持を背景に、党員の投票で圧倒的に1位をとり、その影響力で国会議員の数も集める。派閥の合従連衡関係なく、トップに立った初めての総裁なのだ。
中選挙区制度下では、自分の後援会をしっかり固めれば、党がどうあろうと15パーセントくらいの得票は可能なので、総裁がだれであろうと議席を獲得できた。小選挙区は5割ちかい得票をしないと難しい。よって、党首が誰か、党がどういう政策を打ち出しているかなどにより、当落も左右される。自分の努力を超えたプラスアルファが大きくものをいうことになる。
小泉総裁となって4年数か月、構造改革を推進してきた。格差のある社会が生まれたのではないかとの指摘は否めないが、とらえ方が少し違うように思う。
小泉首相が改革に踏み込んだについては、人口減ということがある。予想以上にその進行は速く、社会保障を支える人口減が深刻になるということだ。そうなると国民負担増ということになるが、それはなかなか国民の理解を得られない。であるならば、政府のサイズを考え直さないといけないだろう。民間ができることを、国が税金を使ってやっているのであれば、民間に任せるというのが基本的な考え方だ。経済では、今は国際ルールの中で戦わなければならないとなると、世界で勝ち残らなければ、日本でも生き残ることはできない。企業がその努力をしやすいように、仕組みもそう変えていかなければならないのだ。その危機感の中で改革をスタートし、着実に前進しているのではないかと思う。
改革スタート時は、不良債権は山ほど積み上げられ、国は大変な借金を抱えていた。経済はマイナス成長の中にあった。小泉政権は改革なければ成長無しを貫き、銀行の不良債権率は8パーセント台だったのが、今は2パーセント。経済もプラス成長になり、18年度にはデフレ脱却も出来よう。
借金については、累積の借金は増えてるが、国が1年間で支出するくらいは税収でまかなうというプライマリーバランスにおいては、この3年間で8兆円近く改善させている。増えている累積分については、今後GDPが増えていけば減らせることのなると考えていいと思っている。GDP比で借金を縮小していけば、国債や円への信用は決して低下しない。
また、格差社会がいわれるが、大切なのは頑張りが報われること。頑張った人と何もしない人が同じでは意味がない。しかし不幸にして頑張りが報われないときもあるが、きれいで自由な競争を保証することが大切なのだ。こうした競争の中で経済が押し上げられていく、そして日本の力が押し上げられていくことが大切なのだと思う。
安倍 晋三 氏
内閣官房長官
昭和29年 山口県出身
昭和52年 成蹊大学政治学部卒 南カリフォルニア大学留学
昭和54年 神戸製鋼入社
昭和57年 外務大臣秘書官
平成5年 衆議院議員初当選
平成12年 内閣官房副長官
平成15年 自民党幹事長
平成17年 内閣官房長官