現時点で最大の政治課題は、郵政民営化である。地元の特定郵便局長の会合などに出席したりすると、「郵政民営化に反対」と明言して欲しいと請われたりする。そこで、保守主義は古きよきものを守るために改革をするものだという抽象的な挨拶に終始することになる。
日本の郵政の特徴は、簡保と郵貯の膨大な規模にある。そもそも簡保のように、保険事業を国が行っている先進国はどこにもない。郵貯は英仏独にあるが、個人金融資産に占める割合でみれば、圧倒的に日本は大きい。つまり郵政民営化においては、郵貯と簡保の合計340兆円をどのようにしてリスクマネーにしていくのかが最大の問題なのである。郵政の全国津々浦々に張り巡らされているネットは、そのまま維持すればいいことだと思う。
米国では、郵便は国が仕切っているが、郵貯は市中金利と連動せず利上げさせなかったため淘汰された。ニュージーランドでは、地方の弱者対策で郵貯を復活させた。日本では、郵便・簡保・郵貯の3事業一体でなければうまくいかないとの議論があるが、財投改革で年金と郵貯の資金を財投に回すことをやめたため、比較的に障害なく民営化へ移行できる体制が整えられているといえよう。
結論としては、郵貯と簡保がきっちりリスクマネーになり、将来の経済成長につながる部門に資金が流れていくようにしさえすれば、郵便局のネットワークを残していく形で進むのではないだろうか。
当面の政治課題は、補欠選挙を控え、党改革をいかに進めるかにある。党改革実行本部は、安倍晋三氏を本部長に事務局長に塩崎ら、総勢80人くらいの体制で回している。宮城補選では、公募で候補者を立てたが、それは去年の党改革の成果として候補者選定の制度を整えた結果である。
さらに、7月には都議選があり、これで勝利しなければ次の国政選挙で自民党がうまくいかないというパターンがある。平成18年秋には自民党総裁選もあり、その翌年には参議院の任期満了を迎える。統一地方選挙も控えて選挙は目白押しになっていくことを考えると、新総裁の力量が問われることになるのは必至で、だれがなるか喧々諾々といったところである。
私自身がこのところ取り組んできたことに、商法の改正がある。今でこそライブドア問題などがあり、商法小委員会は大入り満員の盛況になったが、それまではあまり関心が集まらなかった。
改正点には、有限会社を株式会社に一本化することや、ベンチャーでは可能だった資本金1円からの会社設立を制度化することなどがあり、法案の厚みにして5センチほどもある大掛かりな改正になろう。
その中に、敵対的買収と合併に関するものもある。現在、会H併しようとすると、特別決議として株主総会の3分の2の同意を得なければならない。3分の2まで買い上げるには、証券市場で株式を買うか、TOBをかけて市場外で買うしかないのだが、その際の合併対価を存続会社の株式でも、キャッシュでも、社債でもいいという、合併対価の柔軟化という項目がある。これまで日本は対内直接投資を受けることが少なく、小泉首相も対日直接投資残高を倍増させると公約してきたこともあり、この会社法の改正に盛り込まれたのである。
今回の会社法の改正により、経営者の自由度が増したといえる。会社をどのように経営するかは、経営者と株主が決めればいいことだということを鮮明に打ち出している。ただ、株式を公開するかどうかは、ひとえに経営者の判断にかかっており、公開するのであれば、経営のディスクロージャーが必要絶対条件であり、そのための制度化と組織の整備がなされなければならないことはいうまでもない。
塩崎 恭久氏
衆議院議員 外務副大臣
昭和25年 愛媛県出身
昭和50年 東京大学卒 日本銀行入行
昭和57年 ハーバード大学大学院修了
平成5年 衆議院議員初当選
平成9年 大蔵政務次官
平成15年 衆議院法務委員会筆頭理事
平成17年 衆議院議員 外務副大臣