公務員改革について

テーマ:「公務員改革について」

平成17年3月例会
ゲスト/水野 清 先生

◆膨大な借金財政と官庁の無駄遣い

 行革会議により1府12省がスタートして5年、ただ、容れ物を変えても官僚主義は変わらない。それは何かというと、公務員制度を改革しなければ、日本の官僚主義は直らないということである。

 経済産業省の職員の構成を見てみよう。経済産業省では、課長を85人しかつくってはいけない。課長に準じる室長は23人、企画官は75人、課長補佐は539人と規定されている。あの人は優秀だから課長補佐から企画官にしてさらに局長にしようとしても、人事院の了承を得なければできないことになっている。このような複雑な仕組みは経済産業省だけでなく、大蔵省も何も、すべてこうした制度になっている。こうした硬直した制度を直さないといけない。

 しかし、いかにして直すかは、大変難しい問題だ。ともかく企画立案する人たちと、現場で実務に当たる人たちを分けようということになった。イギリスのサッチャー政権での成果を視察して、独立行政法人という制度をつくり、現業部門を本省から外に出した。本省の一般公務員が33万人に減り、独立行政法人は4万8千人となっている。独立行政法人には、公務員の資格でなっている人と、非公務員、すなわち民間人としてやっている人がいる。これは各省に好きなように選択をさせたわけである。今、郵政公社の職員数は27万人で、これは独立行政法人には入らない。独立行政法人的公社ということで、民営化を恐れた結果のようだ。一方、89の国立大学が国立大学法人となり、13万人の職員がいる。独立行政法人の長は国務大臣が任命すると規定されているが、そのことに文部科学省が抵抗したため、学内選挙で選ばれた人を文部科学大臣が承認する形とした。そう書き換えたことによって、文部科学省も了承したが、その真意は民間人としての立場だと、外部から研究費がもらえるからなのである。

 こうしたみなし公務員は会計78万2千292人にのぼるが、今後さらに広げていくことになる。例えば、林野庁の理財局やハローワーク、社会保険庁などが独立行政法人化の対象になろう。他にも、防衛施設局、農林統計、農業改良普及員など、国の行政組織の中から外に出して官をすっきりさせようというのは、大蔵省も同意をしている作戦である。

 なんでこうした官のダイエットをしているかというと、国の借金はすでに888兆円に及び、ポスト小泉になるとどうしても消費税を上げなければならないと予測されるからである。そのためには、絞るだけ蔽って無駄な公務員を減らしておかないと、国民は納得しないからなのである。消費税をあげずに借金を返すには、インフレを起こせという議論もある。物価を上げて、借金の相対的価値を下げる方法だ。

 もちろん、なんでも現業だからといってすべて独立行政法人にして労働三権を与えればいいというのでなく、警察、消防、航空管制、検疫といった部分は官の枠を外してスト権を持たせることにならないようにすべきである。さらに国家公務員に続き、地方公務員の改革にも早急に手をつける必要がある。いずれにしても借金を返すためにあらゆる手をつくさないと、国家財政は破綻し、大変なことになりかねないのである。

水野 清 氏水野 清 氏
元内閣総務庁長官

大正14年  千葉県出身
昭和26年  東北大学卒 NHK放送記者
昭和42年  衆議院議員初当選
昭和58年  建設大臣
平成元年   自民党総務会長
平成5年   衆議院議員9回当選
平成10年  「日本再建のための行革を推進する700人委員会」代表世話人