近年8〜9%のGDPの伸びという高い経済成長を続ける中国だが、戦後20年の高成長で先進国の仲間入りをした日本に此べると、改革開放経済政策をとって25年以上を経た中国はいまだに途上国である。しかし、北京オリンピック、上海万博などのビッグイベントも控え、今後20年で日本に追いつく成長を続けると考えられる。
この高成長を支える各産業も発展を続け、自動車は既に世界4位、粗鋼は7年連続の世界1位、携帯電話の加入者数、テレビ、ノートPCの生産台数も世界1位となっている。面白いことに、これら各産業も有力企業のほとんどは、香港に上場している。高成長を背景に、中国関連銘柄も昨年は急騰して中国株ブームに火がついたが、今年は経済の過熱を懸念した中国政府の引き締め政策で株価は調整局面に入っているようだ。
急成長株企業の一つが、重慶鋼鉄である。鉄鋼業の中堅メーカーだが、昨年の株価上昇率は397%にも及ぶ。今年は引き締め政策の影響か、株価もかなり下がって株価収益率も1倍程度になり、再び割安感が出ている。ところが実際に視察してみると、古い設備のまま非効率な生産を続けており、ブームの中でこうした企業も株価が高騰するといういい例かもしれない。
もう一つはデンウェイモータース、広州ホンダで、日本で中国株を買う人のほとんどが持っている株だが、やはり今年に入って株価は下落している。昨年のシェアは中国国内の自動車メーカー120社中5位、今年に入って4位までに回復している。激しい競争状態にある中国自動車生産市場だが、このような実力ある会社に注目してもいいのではないだろうか。
中国の人口構成では、25〜35歳が3億人くらいいて、ここ川数年間はこれらの層が消費をリードをするだろう。ただ、消費の形態が日本と異なり、人とは遣ったものに金を使いたがる。いわゆる見栄え消費で、中国は世界の工場といわれるが、ものを買う力も相当大きいと思われる。
中国の最大の特徴は、中国が一つではないということかもしれない。中国の1人あたりの平均所得は、国全体が1千ドルでも上海では5千ドルにのぼる。ただ、ここ2年ほどで大きく中国は変わっている。まず、私企業経営者に共産党員が認められた。象徴的なのは、シェアの7割を占める中国の4大銀行のすべてが海外上場の準備に入ったことだ。2006年末までに銀行業務を開放すると宣言しており、資本主義への道をひた走っている。
ここのところの中国株ブームの最大要因は中東紛争にもある。9・11テロ後のプッシュ大統領の最初の海外渡航先はAPECの開かれた北京で、中国の安全さを世界に証明した形となった。また、テロ対象国になっていないので、投資の分散化が進められ、工場などの進出先として中国がもてはやされる面もある。
中国のイメージを変えるさらなる要素は、中国企業の存在である。企業全体の財務比率や収益率は日本より劣るものの、トップ1、2となると、日本企業を凌ぐように図抜けている企業がある。中国の先富主義で、車も銀行もトップクラスの企業を先に育てて上場させ、中国の牽引力とさせようというのだ。
さらに、人民元はここ数年で切り上げられて強い通貨をなるだろう。為替が急騰する中で、中国も国際的企業を目指すことになる。市場も日本の昭和30年代、40年代のころのように活況を呈し、長期的に投資対象として優良なものが多いといえそうだ。
岡三証券
シニアエコノミスト/王 紅 氏
アジア情報室 室長/豊島 信彦 氏