参議院議員選挙を控えた政治状況

テーマ:「参議院議員選挙を控えた政治状況」

平成16年6月例会
ゲスト/塩崎 恭久 先生

◆年金問題とイラクへの自衛隊派遣問題


 以前から年金問題に本腰を入れないと今度の参議院選挙は危ないと申し上げてきたが、まさにそのことが実現しそうな雰囲気がある。もう一つの火種は、イラクにおける多国籍軍の問題である。この二つの問題から、自民党の風向きは悪いように思われる。さらに、選挙への関心もそこそことの報道もあり、投票率が高くなれば、自民党は苦戦を強いられよう。

 まず年金問題だが、昨年の衆院選でのマニフェストにおいても、自民党はおおまかなものしか山Hしていない。当時は判断材料がなかったため、具体案が出ていなくともよかったかもしれなかったが、今回の参院選ではそうはいかない。ただ、国民の最大関心事だけに、与野党がそれぞれの年金改革案を出しての対決構図にするのではなく、与野党の枠を超えて知恵を集結して改革を目指すべきだと思っている。

 今回の年金改革では、本論よりも年金未納問題だけがクローズアップされることとなり、国会は紛糾した。さらに年金資金の役人による無駄遣いなどが報道され、政府は隠し事と嘘言にまみれているとの不信感を国民に持たせることにもなった。また、その結果、年金一元化を含む社会保障の抜本見直しという自民公明民主による三党合意よりも、参院選をひかえて対決姿勢を明確にしたほうが得だとの民主党の判断を生むことになった。

 問題点のもう一つがイラクへの自衛隊派遣である。多国籍軍に参加することへの国民的理解が得られていない状況であり、派兵やむなしとの考えを持つ民主党だが、このところの不穏なイラク情勢から派兵が疑問視された流れを受け、選挙対策としては反対を大きく唱えるほうが得策だと考えたようだ。

 派兵問題の論点は、軍隊を持てぬ日本が多国籍軍に参加することにある。戦争放棄の日本独自の立場からすれば、人道支援だけを目的に軍の一部に組み込まれるような形はありえないという議論だ。ただ、多国籍軍に加わっても戦闘行為を避ける日本独自の判断を留保できるとの傍証として、今回のスペイン軍の撤退がある。

 結局、日本国憲法に加えイラク特措法と自衛隊法に縛られる自衛隊の活動であり、今まで以上でも以下でもない。しかし、便宜上といったほうがよいと思うが、多国籍軍という枠組みの中で日本の立場に同意を求め、イラク暫定政府との地位協定を結ぶのが、コンセンサスを得るにはもっともよいと思われる。しかし、国会等での説明もないままに、プッシュ大統領に多国籍軍への参加を表明したために、紛糾してしまったという面もあろう。

 年金にしても、多国籍軍参加にしても、国会における説明の仕方によっては、ずいぶん国民の受け止め方は違ったように思われる。政治には、故レーガン大統領に見習うならば、よく人の話を聞き、その中から一つを選ぶという決断力を持ち、一度決めたことは迷わず、国民に決断を理解してもらう説明力が必要である。

塩崎 恭久氏 塩崎 恭久氏
衆議院議員


昭和25年 愛媛県出身
昭和50年 東京大学卒 日本銀行入行
昭和57年 ハーバード大学大学院修了
平成5年  衆議院議員初当選
平成9年  大蔵政務次官
平成15年 衆議院法務委員会筆頭理事 
      自民党政務調査会副会長