最近の内政と外交

テーマ:「最近の内政と外交」

平成16年5月例会
ゲスト/安倍 晋三 先生

◆小泉政権の改革と首脳外交の行方


 小泉内閣も3年を超え、佐藤内閣に次ぐ長期政権になりつつある。何故これほどの長期政権になりえたかというと、選挙制度は中選挙区制度から小選挙区制度に変わったことが大きい。中選挙区制度下では派閥に加わっていれば、ほぼ20%程度の得票は約束された。しかし小選挙区では、候補者が1対1になる可能性が高く、5割近くとらないと当選できない。そうなると自分の努力を超えて党や党首のイメージで自分の当落が左右される面もある。そうなると、党首に人気があるかないかが大きな要素となってしまう。かつては党首は人気に関係なく、派閥の領袖だったりしたが、小泉さんはその意味では全く山の登り方を変えてしまった。人気が続けば小泉さんは党首で居続けるだろう。

 改革を進めるにあたっては、小泉さんが改革推進者としてもっともふさわしいと思っている。改革を継続するときに、自民党でふさわしいといわれた政治家は、例えば森元総理のように、根回しをしっかりするタイプの政治家だったが、小泉さんは根回しということに最も縁のない人である。岡田さんとの唯一の共通点は、バレンタインのチョコレートも返すことだが、小泉さんの場合は、着払いで送り返すことで有名なのだ。

 ところで小泉さんの改革の成果は着実に上がってきていると思う。昨年はG7の中で最も高い経済成長を遂げ、失業率も着実に下がっている。改革を進めた結果、新しい職場が生まれている面が強い。もちろんミスマッチの部分もあり、特に地方に於いては厳しい状況にあるのは事実で、地方に景気の明るい兆しをもたらすことも今年の大きなテーマの一つとなっている。

 外交においても独特の手法で、特に首脳外交では実務型外交とは異なり、なるべく細かいことは首脳会談の場では話さない。その姿勢がプッシュ大統領との関係では良く、二人は10時間続けて会談を行ったということもあった。ブッシュ氏は小泉さんとはウマが合い、他の政治家の前では決して喫煙しないプッシュ氏が、小泉さんの前では葉巻を吹かす。そうした艮好な関係性は国益にも適うわけで、たとえばBSEの問題や経済摩擦的な問題も、首脳会談の場ではほとんど話題とならない。

 その小泉流の外交が発揮されたのが2回目の平壌首脳会談である。相手国で首脳会談を持つことは圧倒的に不利だが、今回はジェンキンスさんと2人のお嬢さんを帰日させる道を拓いたという成果を挙げた点は評価されてよいと思う。

 拉致問題とともに重要なのは北朝鮮の核問題だが、彼らがウランの濃縮計画を認めるかどうかが問題である。プルトニウムの抽出については認めたものの、ウランについては認めなかった。彼らが核を持っているか否かの最終判断の材料を与えずに、交渉の道具として使おうとしていると思われる。

 北朝鮮に対しては6カ国協議を維持しつつも、特に日本とアメリカがしっかりと連携をとりながら、経済制裁も視野にいれつつ、粘り強い交渉を行っていく必要があるだろう。

安倍 晋三氏 安倍 晋三 氏
衆議院議員

昭和29年 山口県出身
昭和52年 成蹊大学政治学部卒 南カリフォルニア大学留学
昭和54年 神戸製鋼入社
昭和57年 外務大臣秘書官
平成5年  衆議院議員初当選
平成12年 内閣官房副長官
平成15年 自民党幹事長