ブッシュはどう動く

テーマ:「ブッシュはどう動く」

平成15年11月例会
ゲスト/小浜 正幸 先生

◆来年の再選へ向け、難しい局面をどう乗り切るか


 なぜ、私のような一介のサラリーマンがブッシュ大統領に会うことになったか。

 日立製作所時代の38年間のうち、ニューヨーク、ベイルート、カイロ、さらにロスアンゼルスでの駐在生活、出張も含め、約20年が海外勤務だった。ロス時代、IBM事件などで日本バッシングがあったとき、現地との調整役を仰せつかり、米政財界人と会う機会も増えていった。プッシュ氏がテキサス州知事時代には、テキサス州における日本文化展や歌舞伎公演などの橋渡し役もし、知事に会う機会も何度かあった。後に、森総理がブッシュ大統領と会談するときには、渡米直前に首相官邸でブッシュ大統領の人となりをコンサルテーションしたこともある。プッシュ氏と小泉氏がうまくいっているのは、このときの会談から始まったことなのである。

 同時多発テロでブッシュ大統領の支持率は跳ね上がった。冷戦時のソ連以来初めての外敵であるイスラムのテロに対して、国が自然にまとまる気運のときに、熱心なキリスト教徒としてのプッシュ氏だから、90%以上の支持を得ることになったのである。その後、90%からはぐんと下がったが、イラク開戦で再び上がり、現在は50%を少し上まわったところにある。また経済面では、第3四半期のGDPが7・2%上昇、失業率は6・1%から6%に下がった。来年もGDP上昇率は5・7%から5・9%になるだろうとの予測もある。経済に弱いといわれた大統領だが、むしろイラクのほうが問題となってきているのである。

 そもそも、プッシュ氏はメソジスト派を精神的拠り所としており、思いやりの保守主義を掲げてスタートした。ブッシュ家の家訓は、男はまずビジネス分野を経験しろということで、ハーバード大学のMBAを修得してから、40歳までに会社を3つ潰している。性格的には迷わず進む体育会系といえる。父親を深く尊敬し、家族愛も強い。対外的には自立的なポーズをとっているが、実際は父親と電話会話を始終している。それでも何とか父を超えたいと思っているので、とにかくイラクを何とかしたいと考えていることは聞達いない。ビジネスにも携わったので、持ち場持ち場を人に任せ、話を聞いて決断する司令官タイプ。ビジネスマンとしてはかなり苦労し、会社を3つ潰しただけに、計算された確信に基づいて判断するなど、したたかな面も持っている。しかし、常に温かな雰囲気を持っており、人は彼に会うと好きになってしまう。頑強さが管理スタイルの特徴で、政策学校の生徒でもなかった人物が、慣熟的な深いイデオロギーを持った大統領へと大変身したといえよう。

 ところで、中東は人口爆発で大学を卒業しても働き口のない若者が多く、テロの予備軍は雲霞のごとくいる。イラク統治評議会はシーア派、スンニ派、王党派、クルド族など、まとまりのない状況で、国境警備はあってなきが状態にある。米国内でも大統領をとりまく派閥の対立などがあり、パレスチナ問題では平和工作がすべて不成功になりつつあるなど、内外に大問題を抱えている。

 特に、イラクでは占領統治が長引く中で、兵士1人が死ぬと票が何票減るともいわれ、来年の再選のために何がベストかということで政策が動くことになるだろう。

小浜 正幸 氏

(有)グローバル・工ム・ケイ取締役社長

昭和13年 大阪府出身
昭和37年 大阪大学卒 日立製作所入社
昭和42年 ニューヨーク駐在
昭和48年 レバノン事業所長
昭和58年 エジプト事務所長
平成4年  海外事業推進本部次長
平成9年  日立GEライティング取締役社長補佐
平成11年 現職